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Channel: 緋紗奈のブログ
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MH小説②この輝きは誰かを守るために…

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真夜の師匠(?)のラージャンは大人しい
本当にこれラージャンか?
と思っている方いると思いますがそれは・・・





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「ねぇ、剛雷さんって怒ると毛の色が金色になるってぴよから聞いたんだけど、見てみたい!だから金色の姿みせて!」

「・・・・は?」


ラージャンは怒り状態になると体毛が金色に変化する
それが金獅子と呼ばれる所以だ

しかしあっさりと断られた


「なんで~いいじゃんか少しくらい見せてよ~」

「見せろってお前目が見えないだろう?」

「うん、感じるだけだけど・・・お願い!ほんの少しでいいから」


真夜がどんなにねだっても首を横に振るラージャン
そんなことどうでもいいから早く狩りの練習に行け!と
巣穴から追い出されてしまった

不満そうな顔を浮かべる真夜だが、
いつか絶対に怒らせてでも見てやる!と意気込んで狩りへ出かける






「・・・・・見せられないんだよ・・・・」

「・・・・え?」


恐らくラージャンは小声で言ったのだろう
しかし聴覚がいい真夜にはハッキリ聞こえた


「(見せられないって・・・どういう意味・・・?)」






この日も真夜は狩りの練習に勤しむ
が、もう狩りの腕はかなり上達していた

ケルビだけではない、ズワロポスは勿論のこと
ゲネポス・イーオスなどの小型のモンスターも
自分だけの力で仕留められるようになっていた

無論、仕留めるのは自分の食べる分だけ、無駄な殺生はしない
母親から教わった子供・子連れを殺さないという種の掟もちゃんと守りながら


「大分上手くなったな」

「どう?これで戦い方教えてくれる?」

「・・・いいだろう、しかし俺の戦い方と守の者では戦い方は違うだろうからそれほど多くの事は教えられんだろう。再確認するが本当に俺でいいのか?」

「うん!」

「・・・分かった」


真夜はラージャンから戦い方を教わり始めた
そのほとんどは狩りを応用した感じだった
「ああ、だから狩りの練習からだったんだ」と
改めて戦い方を教わるだけでは駄目だったのだと実感した

無駄な争いを避けるための威嚇の仕方も教わる
弱いものは大抵威嚇をすれば逃げ出す

が、咆哮をあげようとするも大声が出せない
いくらやっても小さい声しか出ない

真夜は今まで隠れて暮らしていたから大声を出したことが無い
左官達の話によるとオルディーオは咆哮【大】だから
子供の内でもある程度大きく吠えることができるハズなのだが・・・


「もっと腹に力入れろ、轟の者(ティガレックス)は咆哮だけで周りを吹き飛ばすほどだぞ。まぁこれは極端な例だが・・・大きく息を吸い込め」

「うう・・・やっているんだけど・・・」

「・・・・・・・・・・・・」


と、突然ラージャンが真夜の尻尾に噛みついた
怪我をしない程度にだが、かなり強く噛みついたようだ
ビックリしたのと痛みで大きな悲鳴をあげる真夜


「いっっっったぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!!何するの剛雷さん!!!」

「そんな感じだ。それほど大声が出せるなら問題ない」

「え・・・?」


今痛みで大声を出した感覚でもう一度吠えてみた
するとさっきよりもずっと大きな声で吠えることが出来た

結構な荒療治だが、効果は確かにあったようだ

その後も日が暮れるまで練習を続けた
あたりが暗くなるころには真夜はもう疲れ切って動けなくなっていた


「おい、こんなところで休んでいるとやられるぞ?」

「そんなこと言われても真夜疲れたよぉ・・・もう歩けない・・・」


それを聞いてラージャンは一つため息をつくと地面に伏せた


「仕方ないヤツだな。ほら乗れ、ただし今回だけだぞ」

「わーい、ありがとう剛雷さん」


ラージャンの背中に乗るとご機嫌な様子な真夜
ふと疑問に思っていたことを彼は訪ねた


「お前・・・目が見えないのに対象物の位置や動きをほぼ正確に把握しているようだな、聴覚だけで分かるものなのか?」

「あ、それはね、お母さんから反響音のやり方教えてもらったんだ」


真夜は数日間母親の元にいた時反響音のやり方だけは仕込まれていた
戦闘になるとオルディーオは口から超音波を発し
超音波が物体に当たり跳ね返ってきた反響音をその発達した
聴覚で聞き取り正確なものの位置や動きを把握しているそうだ

故に戦闘中オルディーオは常に口を開け超音波を発している
他の古龍にはあまり見られない疲労状態があるのはそのためらしい


「反響音を教わってから左官達の輪郭とか動きもハッキリ分かるようになってさ、結構大変だったけどお陰で戦いになっても問題ないよ」

「・・・・そうか、母親から教わったのか」

「・・・・・?剛雷さん?」


一瞬だが、ラージャンが寂しそうな表情をし、口調が少し変わった
それを真夜は見逃さなかった・・・
しかし何故そうなったのかこの時の真夜には分からなかった










それからまた日にちは経ち、ラージャンの元で暮らすようになってから
もう1ヶ月ほど月日が経っていた

真夜の体長はすでに5mを超えていた
それでも成体になると20mを超える大型モンスターなので
まだまだ子供だと言えよう

この日は他のモンスターの動きを観察するのも
いいと言われたので原生林を歩き回っていた




すると遠くから羽ばたく音が聞こえた
何やらこちらへ近づいてきているらしい

反響音を使い、姿を確認すると今まで見たことが無い姿のモンスターが
真夜へ向かってきていることが分かった

真夜が身構えるとそのモンスターは真夜の前へ降り立った


「おやおや、噂通りこれは守の者の子供だねぇ・・・」

「だ・・・誰ですか?」

「ん?妾<わたし>かい?他の種族からは【刃の者】と言われているよ。守の者はここいらではまず見ないから噂を聞いて見に来たのさ」


突然真夜の前に現れたモンスターは【刃の者】と名乗った
一瞬リオレウスかと思ったがリオレウスよりすらっとした体格をしている
どこから来たのか尋ねるとなんと砂漠の方からやってきたらしい


「そんな遠くからわざわざ真夜に会いに来たの?」

「妾<わたし>がただ興味があっただけだよ、面白そうだったからね。これが守の者か、ふむ随分と小さいんだね」

「そ、それは真夜がまだ子供だからだよ!大人になったら貴方よりずっと大きくなるもん!絶対にびっくりするんだから」

「ふふ、随分と威勢がいい子だね。からかいがいがありそうだ」

「どうした?誰と話している?」


物陰からラージャンがやってきた
・・・が、刃の者を見た瞬間即座に身構えた


「貴様は刃の者・・・!何故ここに・・・・」

「おや?剛雷の者か・・・・お前のことも噂で聞いているよ。妾<わたし>を見てもすぐ攻撃してこないところを見るとこちらも間違いないようだね、異端者さん?」

「い・・・たん・・・しゃ?」


その言葉を聞いたラージャンの顔がこわばった
真夜に一番知られたくなかったことが・・・・










「そう、こいつは異端者だよ。剛雷の者にあるべく攻撃性がない上に黄金の姿にもなれん落ちこぼれだ。他の剛雷の者から抹殺の対象になっている者さ」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


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