マチコさんがラスボスだ!(大嘘)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
こちらの地方へ引っ越してきてすぐ
マチコは依頼された簡単な探索に来ていた
しかし……
「あー……、あっかんなこれ。めっちゃ迷子や…
何がどうしてこうなったんやろ…どう考えても迷子や…」
樹海の浅い場所での探索の予定だったのだが、
こちらに来たばかりで何もかもが初めて目にするもの、
それに興味をそそられ、どんどん奥に行っているうちに
ここがどこだか分からなくなりマチコは完全に遭難していた
それから更に手当たり次第に進んでしまったため
疲れもたまり、持ち込んだアイテムさえ底をつきそうなっていた
もう疲れて動けなくなり大きな木の陰で座り込んでしまった
「せっかくアイツ追っかけてハンターになったんに…
このままやと死体でご対面とかになりそうやわ……」
などと項垂れていると草むらから「ガサガサ」と物音が聞こえた
ハッと立ち上がり武器を構えるマチコ
迷っているうちに大分樹海の奥地に来てしまったため
遭遇するモンスターは全て今のマチコの装備では一撃で
戦闘不能にするほどの攻撃力のものばかり、もしその類いの
モンスターなら万が一にもマチコに勝ち目はなかった
「ほんまにあっかんな………ん?あれ?なんやこいつ…」
出てきたのはなんと奇猿狐ケチャワチャの子供だった
よく見ると前脚を怪我している、しかも少し弱っているようだった
マチコは武器をしまい、残り少ない回復薬を取り出す
「人間の回復薬ってモンスターにも効果あるんかな?
まぁでもなんもせえへんよりはマシやろ」
怪我の治療をしようとケチャワチャの子供に近付いたが
警戒されて逃げられてしまった。野生の生き物だし仕方が無い。
このままでは治療が出来ないと、背負っている武器を地面に置き、
剥ぎ取りナイフも自分の手の届かないところへ投げた
「ほら、あたし今な~んにもあんたを傷つけるもん持ってへんで、
大丈夫やからこっちにおいでな」
そのまま少し待っているとケチャワチャの子供が
ゆっくりとマチコへ近付いてきた
しかしまだ警戒している様子だったので
虫あみで捕まえたキラービートルでこちら誘う
するとようやくマチコが触れるところまで近付いてきた
よほどお腹が空いていたらしく食べ物に夢中になっていた
その間にマチコは怪我をした前脚を治療する
多少嫌がるそぶりを見せたがなんとか終わった
「よし!これで大丈夫やろ!そんなことよりお前……
親はどうしたんや?…いや、おったら今頃あたしボコボコやな」
周りに親らしき姿はない
はぐれてしまったか、もしくは何か事故で死んだのか…
何にせよ怪我を負っている幼子を放っておけない
「仲間でも見つけたらなんとかなるかな?
とりあえず見つかるまであたしがなんとかしとるわ」
そういうとマチコはケチャワチャの子供を連れて歩き出した
警戒している様子だったケチャワチャも時間が経つに連れ
少しずつマチコに心を許していった
しかし探しても探しても肉食性モンスターしか見つけられず
とうとう日が傾き、もう辺りは薄暗くなっていた
動き回って更に疲れてしまったマチコは
もう動けない、と岩に腰掛けてしまった
一方のケチャワチャはすっかりマチコに懐いて
甘えるような仕草を見せていた、それにマチコも癒やされる
「けど…どないしよう…もう動けんのに今ここで
モンスターになんか遭遇したら一発やで……」
するとバサバサ、っと羽ばたく音が聞こえてきた
音がする方へ顔を向けたマチコは一瞬にして血の気が引いた
その羽ばたく音の正体は火竜リオレウス
しかも口から何か黒いもやのようなものを吐き出し
目もなんだか赤く怪しく光っている
どう考えても普通のリオレウスでは無い
「(あっかんなこれ…気付かれたらお終いやわ…)」
ケチャワチャも異様な様子に気付いたらしく
震えてマチコに抱きついていた
ケチャワチャを連れてゆっくり立ち去ろうとしたのだが
普通の状態では無いリオレウスはもうマチコ達に狙いを定めていた
口から大きな火球を吐き出し、マチコ達を攻撃する
とっさにケチャワチャをかばったマチコは
右足に火球をもろにくらってしまった
痛みでその場に倒れ込むマチコ
「うぐ……ほんまにあっかんな。おいお前だけでも逃げぇ…」
脚を怪我してはもう逃げられない
マチコは本気で死を覚悟した
リオレウスはさらに追撃を加えようと
マチコ達のほうへ走り出した
グルルルル……
その時何か獣が唸るような声が聞こえてきた
バキバキと大木が折れるような音が響く
それと同時にズシン、ズシンと足音も聞こえる
次の瞬間
マチコ達の目前まで迫っていたリオレウスが勢いよく吹き飛んだ
何が起こったのか分からないマチコ
しかしケチャワチャのほうはとても喜んでいた
リオレウスを吹き飛ばしたのが誰なのか
ケチャワチャにはもう分かっていたのだ
ケチャワチャが向ける視線の先にその者はいた
「な…なんや…あのモンスターは……」
銀色の一本角、狼のような身体、紅いタテガミ
見たこともない大型モンスターがそこに佇んでいた
ケチャワチャは意気揚々とそのモンスターに近付く
そのモンスターもケチャワチャが来たことに気付くと
優しくケチャワチャに触れ、まるで慈しむような仕草を見せる
銀色の一本角を持つモンスターはマチコのほうへ視線を移す
マチコはそれに恐れながらもその目に敵意が無いことをすぐに悟った
と、立ち上がったリオレウスが怒り状態になり
銀色の一本角のモンスターに襲い掛かった
銀色の一本角のモンスターは身体を回転させると
硬い毛が密集している尻尾でリオレウスを思いっきり殴った
リオレウスの身体が力なく地面に叩き付けられる
尻尾をよく見るとただ殴っただけではなく、
茨のように鋭い棘が生えておりその尻尾を
リオレウスの頭を正確に命中させていた
リオレウスはその鋭い棘が頭と首に刺さり、絶命していた
「うっそやろ…あのリオレウスを一撃!?
あの狼どんだけ強いんやねん、化け物か!?」
ケチャワチャはマチコに近付くと
銀色の一本角のモンスターもマチコへ近付いた
今まで見たことがないくらいの大きさのモンスター
リオレウスをほぼ一撃で葬り去る力を持つ存在
マチコはたまらず息をのみ、体は凍り付く…
しかしそのモンスターはマチコの隣に腰を下ろし、
まるで動けないマチコを守るように横になった
「な…なんや?どういうことや?これ……」
とりあえずこのモンスターは自分を襲うつもりはないと悟った
ケチャワチャも安心しきっている様子
一先ず残っていた回復薬で火傷を負った右足の治療をした
が、かなり火傷が酷いようでしばらく歩けそうにない
遭難していることも重なり、いつも以上に落ち込んでしまった
「(どないしようこれ……あの子の保護者…らしきやつはおったけど、
あたしこのままやとマジでお陀仏やわ……道具ももうないし)」
すると銀色の一本角のモンスターが顔をマチコへ近づけた
いきなりだったのでかなり驚くマチコ
そのモンスターは怪我をした右足を見るなり、右足をなめ始めた
最初は痛かったが不思議なことに少しずつ痛みが和らいでいく
「え…?すっごいな…もうほとんど痛くあらへんで、
流石に動かせへんけど…もしかして気遣ってくれたんか?」
その銀角のモンスターは優しげな目でマチコを見つめる
恐ろしい力を持っているハズなのにそれを片鱗も感じさせない
それどころかまるで気品のようなものを漂わせる
どう考えても普通のモンスターでは無い
ダメ元でマチコはそのモンスターに声をかけてみた
「あの…あんた普通のモンスターやないやろ?
あんま関係ないけど…ちょっと触ってみてもええか?」
その問いかけに銀角のモンスターは首を縦に振った
多分OKだと言う意味だととったマチコは恐る恐る
銀角のモンスターにそっと触れてみた
硬い毛、でも柔らかさもある。防具にしたら
かなり動かしやすいものになりそうだとマチコは考えた
更にダメ元でこんなことを聞いてみた
「えー…と…。実はあたし道迷ってもうて、
ここがどこだかさっぱりなんや。川とか見つけられたら
帰れる思うんけど…案内とかしてくれへん?」
しばらく沈黙が続いた
やばいことを聞いてしまったかなーと思ったマチコに
銀角のモンスターは口を開いて噛みつこうとした
動けないのでマチコは逃げられるハズは無い
「いやあぁぁぁぁぁ!!ご、ごめんなさい!!すみませんでしたーー!!」
思わず叫んだが、銀角のモンスターはマチコを自分の背中に乗せると
くんくん、と地面の匂いを嗅ぎ、何かを確信すると歩き出した
ケチャワチャがマチコの隣に来るとまるで
大丈夫だよ、と言っているかのような素振りを見せる
その後も銀角のモンスターは地面の匂いを嗅ぎながら歩き続ける
「(もしかしてあたしが来た道を辿ってくれてんの?)」
まさかそんなこと…と考えていると
見たことがある場所へたどり着いた
そこはマチコが最初に樹海を探索した場所だった
「川にって言うたんけど…まさかここまでしてくれるとは…」
銀角のモンスターはマチコをその場所に下ろすと
ケチャワチャを連れて樹海の中へ消えていった
マチコは驚きのあまり言葉が出なかった
「あ…人間の言葉わかっとるみたいやったのにお礼言うの忘れとったわ」
それからマチコはまたそのモンスターに会うために
クエストをこなし一刻も早くG級ハンターになるために動き始めた
あの時まだ下位ハンターだったマチコに調べられることなど僅か
G級に上がればあの銀角のモンスターのことが
何か分かるかもしれないと考えたからだった
まさか新種のモンスターだとは思っても見なかった
でも無事G級に上がれたから会いに行けると
あんなに受付嬢に食いついて交渉していたのだ
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こちらの地方へ引っ越してきてすぐ
マチコは依頼された簡単な探索に来ていた
しかし……
「あー……、あっかんなこれ。めっちゃ迷子や…
何がどうしてこうなったんやろ…どう考えても迷子や…」
樹海の浅い場所での探索の予定だったのだが、
こちらに来たばかりで何もかもが初めて目にするもの、
それに興味をそそられ、どんどん奥に行っているうちに
ここがどこだか分からなくなりマチコは完全に遭難していた
それから更に手当たり次第に進んでしまったため
疲れもたまり、持ち込んだアイテムさえ底をつきそうなっていた
もう疲れて動けなくなり大きな木の陰で座り込んでしまった
「せっかくアイツ追っかけてハンターになったんに…
このままやと死体でご対面とかになりそうやわ……」
などと項垂れていると草むらから「ガサガサ」と物音が聞こえた
ハッと立ち上がり武器を構えるマチコ
迷っているうちに大分樹海の奥地に来てしまったため
遭遇するモンスターは全て今のマチコの装備では一撃で
戦闘不能にするほどの攻撃力のものばかり、もしその類いの
モンスターなら万が一にもマチコに勝ち目はなかった
「ほんまにあっかんな………ん?あれ?なんやこいつ…」
出てきたのはなんと奇猿狐ケチャワチャの子供だった
よく見ると前脚を怪我している、しかも少し弱っているようだった
マチコは武器をしまい、残り少ない回復薬を取り出す
「人間の回復薬ってモンスターにも効果あるんかな?
まぁでもなんもせえへんよりはマシやろ」
怪我の治療をしようとケチャワチャの子供に近付いたが
警戒されて逃げられてしまった。野生の生き物だし仕方が無い。
このままでは治療が出来ないと、背負っている武器を地面に置き、
剥ぎ取りナイフも自分の手の届かないところへ投げた
「ほら、あたし今な~んにもあんたを傷つけるもん持ってへんで、
大丈夫やからこっちにおいでな」
そのまま少し待っているとケチャワチャの子供が
ゆっくりとマチコへ近付いてきた
しかしまだ警戒している様子だったので
虫あみで捕まえたキラービートルでこちら誘う
するとようやくマチコが触れるところまで近付いてきた
よほどお腹が空いていたらしく食べ物に夢中になっていた
その間にマチコは怪我をした前脚を治療する
多少嫌がるそぶりを見せたがなんとか終わった
「よし!これで大丈夫やろ!そんなことよりお前……
親はどうしたんや?…いや、おったら今頃あたしボコボコやな」
周りに親らしき姿はない
はぐれてしまったか、もしくは何か事故で死んだのか…
何にせよ怪我を負っている幼子を放っておけない
「仲間でも見つけたらなんとかなるかな?
とりあえず見つかるまであたしがなんとかしとるわ」
そういうとマチコはケチャワチャの子供を連れて歩き出した
警戒している様子だったケチャワチャも時間が経つに連れ
少しずつマチコに心を許していった
しかし探しても探しても肉食性モンスターしか見つけられず
とうとう日が傾き、もう辺りは薄暗くなっていた
動き回って更に疲れてしまったマチコは
もう動けない、と岩に腰掛けてしまった
一方のケチャワチャはすっかりマチコに懐いて
甘えるような仕草を見せていた、それにマチコも癒やされる
「けど…どないしよう…もう動けんのに今ここで
モンスターになんか遭遇したら一発やで……」
するとバサバサ、っと羽ばたく音が聞こえてきた
音がする方へ顔を向けたマチコは一瞬にして血の気が引いた
その羽ばたく音の正体は火竜リオレウス
しかも口から何か黒いもやのようなものを吐き出し
目もなんだか赤く怪しく光っている
どう考えても普通のリオレウスでは無い
「(あっかんなこれ…気付かれたらお終いやわ…)」
ケチャワチャも異様な様子に気付いたらしく
震えてマチコに抱きついていた
ケチャワチャを連れてゆっくり立ち去ろうとしたのだが
普通の状態では無いリオレウスはもうマチコ達に狙いを定めていた
口から大きな火球を吐き出し、マチコ達を攻撃する
とっさにケチャワチャをかばったマチコは
右足に火球をもろにくらってしまった
痛みでその場に倒れ込むマチコ
「うぐ……ほんまにあっかんな。おいお前だけでも逃げぇ…」
脚を怪我してはもう逃げられない
マチコは本気で死を覚悟した
リオレウスはさらに追撃を加えようと
マチコ達のほうへ走り出した
グルルルル……
その時何か獣が唸るような声が聞こえてきた
バキバキと大木が折れるような音が響く
それと同時にズシン、ズシンと足音も聞こえる
次の瞬間
マチコ達の目前まで迫っていたリオレウスが勢いよく吹き飛んだ
何が起こったのか分からないマチコ
しかしケチャワチャのほうはとても喜んでいた
リオレウスを吹き飛ばしたのが誰なのか
ケチャワチャにはもう分かっていたのだ
ケチャワチャが向ける視線の先にその者はいた
「な…なんや…あのモンスターは……」
銀色の一本角、狼のような身体、紅いタテガミ
見たこともない大型モンスターがそこに佇んでいた
ケチャワチャは意気揚々とそのモンスターに近付く
そのモンスターもケチャワチャが来たことに気付くと
優しくケチャワチャに触れ、まるで慈しむような仕草を見せる
銀色の一本角を持つモンスターはマチコのほうへ視線を移す
マチコはそれに恐れながらもその目に敵意が無いことをすぐに悟った
と、立ち上がったリオレウスが怒り状態になり
銀色の一本角のモンスターに襲い掛かった
銀色の一本角のモンスターは身体を回転させると
硬い毛が密集している尻尾でリオレウスを思いっきり殴った
リオレウスの身体が力なく地面に叩き付けられる
尻尾をよく見るとただ殴っただけではなく、
茨のように鋭い棘が生えておりその尻尾を
リオレウスの頭を正確に命中させていた
リオレウスはその鋭い棘が頭と首に刺さり、絶命していた
「うっそやろ…あのリオレウスを一撃!?
あの狼どんだけ強いんやねん、化け物か!?」
ケチャワチャはマチコに近付くと
銀色の一本角のモンスターもマチコへ近付いた
今まで見たことがないくらいの大きさのモンスター
リオレウスをほぼ一撃で葬り去る力を持つ存在
マチコはたまらず息をのみ、体は凍り付く…
しかしそのモンスターはマチコの隣に腰を下ろし、
まるで動けないマチコを守るように横になった
「な…なんや?どういうことや?これ……」
とりあえずこのモンスターは自分を襲うつもりはないと悟った
ケチャワチャも安心しきっている様子
一先ず残っていた回復薬で火傷を負った右足の治療をした
が、かなり火傷が酷いようでしばらく歩けそうにない
遭難していることも重なり、いつも以上に落ち込んでしまった
「(どないしようこれ……あの子の保護者…らしきやつはおったけど、
あたしこのままやとマジでお陀仏やわ……道具ももうないし)」
すると銀色の一本角のモンスターが顔をマチコへ近づけた
いきなりだったのでかなり驚くマチコ
そのモンスターは怪我をした右足を見るなり、右足をなめ始めた
最初は痛かったが不思議なことに少しずつ痛みが和らいでいく
「え…?すっごいな…もうほとんど痛くあらへんで、
流石に動かせへんけど…もしかして気遣ってくれたんか?」
その銀角のモンスターは優しげな目でマチコを見つめる
恐ろしい力を持っているハズなのにそれを片鱗も感じさせない
それどころかまるで気品のようなものを漂わせる
どう考えても普通のモンスターでは無い
ダメ元でマチコはそのモンスターに声をかけてみた
「あの…あんた普通のモンスターやないやろ?
あんま関係ないけど…ちょっと触ってみてもええか?」
その問いかけに銀角のモンスターは首を縦に振った
多分OKだと言う意味だととったマチコは恐る恐る
銀角のモンスターにそっと触れてみた
硬い毛、でも柔らかさもある。防具にしたら
かなり動かしやすいものになりそうだとマチコは考えた
更にダメ元でこんなことを聞いてみた
「えー…と…。実はあたし道迷ってもうて、
ここがどこだかさっぱりなんや。川とか見つけられたら
帰れる思うんけど…案内とかしてくれへん?」
しばらく沈黙が続いた
やばいことを聞いてしまったかなーと思ったマチコに
銀角のモンスターは口を開いて噛みつこうとした
動けないのでマチコは逃げられるハズは無い
「いやあぁぁぁぁぁ!!ご、ごめんなさい!!すみませんでしたーー!!」
思わず叫んだが、銀角のモンスターはマチコを自分の背中に乗せると
くんくん、と地面の匂いを嗅ぎ、何かを確信すると歩き出した
ケチャワチャがマチコの隣に来るとまるで
大丈夫だよ、と言っているかのような素振りを見せる
その後も銀角のモンスターは地面の匂いを嗅ぎながら歩き続ける
「(もしかしてあたしが来た道を辿ってくれてんの?)」
まさかそんなこと…と考えていると
見たことがある場所へたどり着いた
そこはマチコが最初に樹海を探索した場所だった
「川にって言うたんけど…まさかここまでしてくれるとは…」
銀角のモンスターはマチコをその場所に下ろすと
ケチャワチャを連れて樹海の中へ消えていった
マチコは驚きのあまり言葉が出なかった
「あ…人間の言葉わかっとるみたいやったのにお礼言うの忘れとったわ」
それからマチコはまたそのモンスターに会うために
クエストをこなし一刻も早くG級ハンターになるために動き始めた
あの時まだ下位ハンターだったマチコに調べられることなど僅か
G級に上がればあの銀角のモンスターのことが
何か分かるかもしれないと考えたからだった
まさか新種のモンスターだとは思っても見なかった
でも無事G級に上がれたから会いに行けると
あんなに受付嬢に食いついて交渉していたのだ