Quantcast
Channel: 緋紗奈のブログ
Viewing all articles
Browse latest Browse all 694

竜帝の伝説《小説》 永遠の絆7話

$
0
0

最近どうにも睡魔に勝てないんです…(ノω・、)

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

マタドゥルモンから漏れ出す闇の力に圧倒され

腰を抜かしてしまったメタルガルルモンだが、恐怖心をなんとか振り払い

匂いを辿ってマタドゥルモンの後を懸命に追っていた

 

するとさっきまであちこちで上がっていた火の手が消えていることに気付いた

あんなに酷かった火災が一瞬で収まるとは考えにくかったが、その答えはすぐに分かった

 

森を抜けると見たことがない大きなデジモンが水を操り、消火していたのだ

メタルガルルモンは匂いからそのデジモンがマタドゥルモンが進化したデジモンだと確信する

 

 

「見つけたマタちゃん!あ、ウォーグレイモン無事か!?」

 

「ガル!ああ、俺は大丈夫だ。グランドラクモンもな」

 

「グランドラクモン?それがマタちゃんが進化したデジモンの名前か?」

 

 

そうだ、とウォーグレイモンは大きく頷いて答えた

今までと全く違う姿をしている幼馴染み

少し戸惑ってしまったが、メタルガルルモンはいつも通り彼女に声を掛ける

 

 

「マタちゃん…いや、ドラクちゃんだね。火全部消してくれてありがとうな!」

 

 

グランドラクモンは無言のまま振り返りメタルガルルモンを見た

仮面で表情は分からなかったが、とても寂しそうな感じだった

 

 

「ドラクちゃん…どうしたんだ?」

 

「ずっとあんな状態でな。何を聞いても答えてくれないんだ」

 

 

その様子を疑問に思いつつも、どうしていいか

分からない状況に二人は困り果ててしまった

 

その時、空からスラッとした体の見たこともないデジモンがやってきた

そのデジモンはグランドラクモンの前に降り立つと膝を曲げ頭を下げた

 

 

「初めまして新たな吸血鬼の王。私はネオヴァンデモンと申します。

お待たせしまして申し訳ございません。お迎えに上がりました」

 

「そう…ありがとう…」

 

 

その会話に二人は意味が分からずに動揺した

ウォーグレイモンもそうだがメタルガルルモンは更にそうだ

 

 

「さぁ、同胞全員が貴方のご帰還をお待ちしております」

 

「…分かってる。でも少しだけ待ってくれないかしら…」

 

「かしこまりました。……ところで貴方は女性の性格なのですか?」

 

「ええ、そうよ。生まれた時からね」

 

 

それだけ言うとグランドラクモンはウォーグレイモンとメタルガルルモンに近付いた

 

 

「ごめんなさい…もう行かないと…」

 

「行かないとって…どこに!?」

 

「黒鬼城…ダークエリアにある吸血鬼の城よ」

 

 

ダークエリア、デジタルワールドに存在する暗黒領域

デジモン達の負の感情が集まる場所として知られており、

暗黒系デジモンの巣窟と言われている場所だ

 

 

「ダークエリアだって!?…しかしグランドラクモンは

あんなに行くのを嫌がっていたじゃないか!」

 

「そうだよ!どうして急に…」

 

「行かないといけないの。私の力は強すぎる。ここにこのままいると

強すぎる闇の力のせいで貴方達に悪影響が出てしまう…。

今は進化したばかりで制御も上手く出来ていないから尚更だわ」

 

 

それは彼女が進化の前兆を感じ取り、そして覚悟していたことだった

まだここにいたい、ずっとここで暮らしていたい…

その思いを全て捨てて受け入れねばならない事実

 

 

「ずっと黙っててごめんなさい。本当は…私も行きたくない…

でもそれは出来ないの。許して…ウォーグレイモン…ガル…」

 

「グランドラクモン…」

 

 

ふと顔に目をやるとグランドラクモンは泣いていた

声も震えていた、別れなければならないということに耐えるように…

彼女の気持ちは痛いほどよく分かる

自分だって離れたくはない、でもそれは出来ない

 

それを受け入れたウォーグレイモンはグランドラクモンの頬に触れ、

流れた涙を優しくぬぐい、彼女に寄り添った

 

 

「…グランドラクモン。大丈夫、永遠の別れじゃない。

ずっと待っててやるからまた会いに来ると良い」

 

「そうだよ、泣かないで。また絶対に会えるから」

 

「ウォーグレイモン…ガル…」

 

 

3人は互いに抱き合い、約束を交わした

最愛の存在がこの温もりを忘れないように強く抱きしめる

 

グランドラクモンは二人から手を離すと、ネオヴァンデモンのところへ歩き出す

 

 

「待たせたわね。行きましょう」

 

「分かりました。では黒鬼城へ帰りましょう」

 

 

グランドラクモンが空に手をかざすと、空が裂け別の空間が現れた

あれがダークエリア、漆黒の色に覆われた暗黒領域

 

グランドラクモンは二人の方へ振り返り、少し微笑んだ

 

 

「じゃあ…また会いに来るわ」

 

「ああ、待っているよ」

 

 

その言葉に再度安心したのかグランドラクモンは

いつもと変わらない優しげな表情に戻った

 

そして翼を広げるとグランドラクモンは

ネオヴァンデモンとともにダークエリアへ消えていった

 

 

 

━─━─━─━─━─

 

 

 

 

数日後

森は焼け跡は残っているものの、普段の姿に戻りつつあった

 

そんな中、ウォーグレイモンはずっと

グランドラクモンが消えた空をずっと見つめていた

 

やはりいつも傍らにいた彼女がいないのが寂しいようだ

自分がそうなのだからグランドラクモンはもっとそうなのだろうとも思っていた

 

 

「グレイ!そんなんだとドラクちゃんも心配するよ!

いつドラクちゃんが帰ってきてもいいようにしっかりしないと」

 

「分かってはいるのだが…どうしても…な」

 

 

仕方ないか、と半分諦めたような表情のメタルガルルモン

俺だって寂しいのに、と言葉に付け加えた

 

 

「そうだよな…お前だって寂しいよな…だってお前は…」

 

 

ウォーグレイモンが”あること”を言おうとしたが遮られた

とんでもない情報が耳に飛び込んできたからだ

ウォーグレイモンとメタルガルルモンのところへ大急ぎでデジモンがやってきた

 

 

「た…大変だーーー!!」

 

「どうしたんだ?ピッコロモンそんなに慌てて…」

 

「そ…それが”ロイヤルナイツ”のアルフォースブイドラモン様が

今日亡くなられたって知らせが飛び込んできたんだよ!!」

 

「えええええ!?アルフォースブイドラモン様が!?」

 

 

にわかには信じられなかった。

だって自分達は数日前にアルフォースブイドラモン本人に会っているのだから

嘘のことのようだがどうやら本当のことらしい

 

 

「一体どんなデジモンにやられたんだ?」

 

「いや、それが自害らしいんだよ。自ら命を絶ったって…」

 

「何それ!?余計信じられないよ!!」

 

「詳しい話はまだ来てないけど、噂によると”七大魔王”

バルバモンに呪いをかけられていたらしいって…」

 

 

またバルバモンの名前が出てきた

あの時の軍勢もバルバモンのものだった

バルバモンはかなりの知将ということもよく知られているが

だからこそ何を考えているのか全く分からない

 

 

「後さ…実はスーツェーモン様も自害なされたって…」

 

「す…スーツェーモン様まで!?」

 

「スーツェーモン様はバルバモンの呪いで苦しんでいたそうなんだ。

それで四聖獣の長であるファンロンモン様がスーツェーモン様の

殺して欲しいって願いを聞き入れたそうなんだよ」

 

 

確かにあの時ムルムクスモンはスーツェーモンはバルバモンの

呪術を受けて大地から離れることが出来ない体になったと言っていた

 

同じ日にアルフォースブイドラモンとスーツェーモンが自害した

無関係とはウォーグレイモンはとても思えなかった

 

 

「何が起ころうとしているんだ…一体何が…」

 

 

言いようのない不安が襲う

大きな戦争はここ千年起きていないから何が起きるのか想像も出来なかった

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 694

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>