前回の10話でなんと竜帝の伝説の記事が丁度累計100になりました
小説&漫画、竜帝の伝説関連の記事を合わせたものですけど
いつの間にか凄いことになってる…
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「うああぁぁぁぁぁ!!」
オメガモンが叫びながらグレイソードを振る
まるで心に大きな穴が空いたように精神が安定していなかった。
そのせいでもうオメガモンの意識はほとんどないに等しい
その様子を見てもバルバモンは冷静だ
的確な距離を保ちつつ、確実にダメージを与えられる技や術を繰り出す
最後の聖騎士を殺すために目は殺意に満ちている
「もうほぼ意識がないようだな。アルフォースブイドラモンがいないとはいえ
深紅の天馬に来られてもしたら流石に厳しいから終わらせて貰おう」
バルバモンはオメガモンから距離を取ると再び詠唱を唱える
しかしどんな詠唱を唱えたのかオメガモンには分からない
もう音さえも上手く聞き取れていなかった
次の瞬間、オメガモンの体が強い重力により地面に叩き付けられた
元々ダメージが蓄積していたのも相まって体が軋むような痛みが走る
重力に押しつぶされ、痛む体を何とか動かしバルバモンに目をやると
バルバモンが莫大な闇のエネルギーをチャージしているのが見えた
今まで経験したことがない闇のエネルギー
避ける事も逃げることも敵わないと瞬時に悟った
「消し炭になれ…パンデモニウムロスト!」
バルバモンがチャージした闇のエネルギーを放った
当たれば即死だ、それは考えなくても分かる
意識が朦朧とする中、オメガモンは必死に回避する方法を考える
せめて直撃することだけでも避けねば命がない
パンデモニウムロストが放たれた森は跡形もなく消失した
半径数㎞にも及ぶ範囲が地獄の業火で焼き尽くされた
範囲内にいたデジモンはほとんど即死だっただろう
消失した森を眺めるバルバモン
「…ちっ、どうやったか知らんがまだ生きているか」
目をやった場所にまだ息のあるデジモンがいた
オメガモンだった
何をやったのか自分でも分からなかったが生きていた
しかし地獄の業火を浴びた体はもう動かない、意識もほぼ失っていた
そんなオメガモンの前にバルバモンが降り立つ
「聖騎士というものはどんなことになってもしぶといな。
さっさと死ねば楽になるというのに理解が出来ぬわ…」
バルバモンは杖をオメガモンの体に直接当てた
今度は確実に息の根を止めるためだ
「もう抵抗する力も無いようだな。さらばだ、最後の聖騎士よ」
バルバモンが杖に力を込め、オメガモンに止めを刺そうとする
そんな時オメガモンの脳裏に浮かんだのはガルと交わした約束だった
グランドラクモンを悲しませないという約束、平和な世界を作るという約束
もう全て守ることが出来ない。誰も救えないまま自分は死ぬ
「…ご…めん…ガル。約束…を……」
振り絞ったほとんど聞こえないほど小さな声。オメガモンは死を覚悟した
「(あれ…?どうしたんだろう…死んで…ない)」
バルバモンはもうとっくに自分に止めを刺したハズ
にもかかわらずオメガモンはそれを不思議に思った
時間にしてみるとほんの数分くらいなのだろうが、
バルバモンが数分も自分を生かしておくとは思えない
オメガモンは顔を上げてバルバモンを見た
そこには信じられない光景が広がっていた
「あぐっ…なに…が…?」
なんと地面から大きな腕が生え、鋭い爪がバルバモンの体を貫いていたのだ
爪はバルバモンの血で真っ赤に染まり、バルバモンは苦痛の声を上げる
その腕にオメガモンは見覚えがあった
「…グランドラクモン…?」
バルバモンは胸を貫かれてもまだ生きていた
腕はゆっくり引き抜かれ、オメガモンの影に消えていく
地面へ倒れたバルバモンは何が起こったのか分からず困惑していた
「何だと…こんなこと…がある…などと…」
立ち上がろうとするバルバモンにオメガモンは最後の力を使い
グレイソードを思いっきり振り切った!
オメガモンはバルバモンの首を両断し、
バルバモンはデータの塵になり消えていった
それを見届けるとオメガモンは意識を完全に失い卒倒した
するとオメガモンの影からグランドラクモンが現れた
姿を露わにしたグランドラクモンはオメガモンの体を抱きしめ、
今自分が出来る延命処置を必死に施す
「嫌…逝かないで…貴方まで私を置いて逝かないで…」
ほんの数分がグランドラクモンにはとても長く感じた
しばらく延命処置を続けるとグランドラクモンはある気配を察知した
気配の強さからロイヤルナイツだと判断したグランドラクモンは
オメガモンの体をゆっくり地面に寝かせ、再びオメガモンの影に溶け込んだ
「ロイヤルナイツなら貴方を必ず助けてくれる…
ガルの分まで生きて…オメガモン…」
グランドラクモンがオメガモンの影に溶け込んですぐに
オメガモンの前にロイヤルナイツのデジモンがやってきた
深紅の天馬の異名を持つスレイプモンだ
「な…なんだコレ…一体何があったんだ!?」
来たばかりで状況が飲み込めないスレイプモンだが、
死にかけているオメガモンの治療が先だとすぐに行動を起こす
彼はエネルギー変換という能力を持っている
自分の体内にあるエネルギーならどんなエネルギーにも変換出来る
直系進化体のデジモンだけが持つ特殊能力だ
その能力を使い、自分のエネルギーをオメガモンの生命エネルギーに
変換してオメガモンにありったけ注ぎ込んだ
「よし、これで白帝城まで持つだろう。急いで運ばないと」
スレイプモンはオメガモンを抱きかかえると白帝城へと走り出した
その様子を影からグランドラクモンは見ていた
安心したのか誰にも気付かれないようにダークエリアの扉を開き、
グランドラクモンは静かに元の場所に戻っていた
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2章26話の10ページの
これの答えがこれです