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竜帝の伝説《小説》 永遠の絆5話

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まだこの時ディーヴァって呼ばれていないのに
間違えてディーヴァって打ってしまうことがありますw



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



それは一週間前から感じ取っていた進化の前兆


しかし彼女にとって”それ”は嬉しいことでは無かった


前兆を感じ取った時からどんなデジモンに進化するのか、
どんな力を持つ存在なのか分かってしまったからだ


ずっとここで暮らして…そして彼の側にいたい…


ただそれだけが彼女の望みだった


嫌だ…!


進化したくない…


進化したらもう側にいられない…


しかし進化を止める術も、進化するデジモンを変える方法も無い


苦しい胸の内を誰にも言えないまま彼女はその時を迎える



━─━─━─━─━─



幼い頃から住んでいる森は爆音が響き、
あちこちで炎があがり、普段の穏やかな場所ではなくなっていた

その現場に急ぎながらウォーグレイモンは
森に住んでいるデジモン達の避難誘導を続けていた


「さあ、急いで!川の向こうに行くんだ!
怪我をしているデジモンがいたら手をかしてやってくれ」


スーツェーモンの直轄地であるこの場所は幼いデジモンが多い
大半が成熟期以下のデジモンだったため、この状況に
対応出来るデジモンの方が圧倒的に少ないのが現状だ

避難誘導をほぼ終えるとウォーグレイモンは
魔王型デジモンが攻めてきているという森の中心部に向かった


「そうか、君がスーツェーモンの直轄地の管理を任されているデジモンか」


その時、上空のほうで声が聞こえてきた
声が聞こえた方へ顔を向けるとそこには
悪魔、堕天使型デジモンを従えた究極体デジモンが
ウォーグレイモンを見つめていた


「…まさか…お前は…」

「私はムルムクスモン。”七大魔王”
バルバモン様の命によりこの地へ派遣されし者」

「バルバモン…だと!?」


バルバモン。”七大魔王”の一角であり
強欲を司る魔王型デジモンとして知られていた

自分が欲しいと思ったものはどんな手段を使ってでも手に入れる
冷酷な性格のデジモンとしても有名な魔王

そんなデジモンの配下が侵略しに来た
ということはここにはバルバモンが欲する何かがあるということ、
しかし心当たりがウォーグレイモンにはない


「……この森にはバルバモンが欲するものなど何も無いぞ。
ここは本当にスーツェーモン様の直轄地というだけの場所だ」

「そう思っているのは何も知らない君達だけだ。
ここにはバルバモン様がずっと探していらしたお宝があるのさ」

「お宝……?」

「そう、邪魔をするならスーツェーモン同様動けなくしてあげるよ」

「…な、何!?スーツェーモン様に何をした!?」


スーツェーモンは四聖獣の一角で南の方角を守護するデジモンだ
単体としての力も”ロイヤルナイツ”よりも上の存在
そんなスーツェーモンに何かが起こったとは考えにくい


「やったのは私ではなくバルバモン様だ。バルバモン様の
得意とする呪術で大地から離れることが出来ない体になったのだよ」

「何だって!?どういうことだ!」

「どういうことって言った通りの意味だ。スーツェーモンは二度と
空を飛ぶことは出来ない。鳥なのに空を飛べないとは致命傷だよね。
本当は一番邪魔なデジモンだから殺すつもりだったのだけど
四聖獣を殺す呪術はバルバモン様でも扱いが難しいからな」

「……そんな…それじゃスーツェーモン様は…」


実を言うとウォーグレイモンは心のどこかで安心していた
ここはスーツェーモンの直轄地だから
本当に”七大魔王”が攻めて来ていたとしても
スーツェーモンが来てくれるまで守り切れればなんとかなると…

でもスーツェーモンが来ることは恐らくない

”ロイヤルナイツ”か”オリンポス十二神”が来たとしても
どれくらいの時間がかかってしまうのか分からない

目の前にはムルムクスモンだけではなく
その後ろにはバルバモンの軍勢までいる

ウォーグレイモンが不利なのは明白だった


「死にたくないなら今すぐにこの森から
出ていくがいい。命が惜しいだろう?」

「俺はスーツェーモン様からこの森を守るように命じられた者だ。
まだ逃げ遅れたデジモンがいる中でそんなことは出来ない。
俺では貴様に勝つことは不可能だろうが時間だけは稼がせて貰うぞ」

「ふふふ…正義の心か。私には理解できないものだな。
愚か者め、さっさと逃げれば良いものを…」



━─━─━─━─━─



その頃、メタルガルルモンは未だに目を覚まさない
マタドゥルモンの傍らに寄り添っていた


「グレイ…大丈夫かなぁ…」


ウォーグレイモンはすぐに無茶をするので
メタルガルルモンは気が気でなかった

本当にただ避難誘導しているのかも怪しいところ、
もしかしたら魔王と戦っているかもしれない

敵わないと分かっていながら他のデジモンを逃がすために…


「やっぱり俺も行こう!グレイだけじゃ心配だ」


ついに我慢が出来なくなったメタルガルルモンが
ウォーグレイモンを助けに動き出そうとした時だった


「…ガル…ガル……」

「!?……マタちゃん…目が覚めたの!?」


ほぼ丸一日意識を失ったままだったマタドゥルモンが目を覚ました
まだ少し朦朧としているようだが目を覚ましたことに
メタルガルルモンもホッと胸をなで下ろした

それと同時に昨日アルフォースブイドラモンに
言われたことが蘇り、不安感に襲われた


「ま…マタちゃん…体はどんな感じ?」


メタルガルルモンが一番気になることを訊いたのだが
マタドゥルモンは無言のまま…答えようとしなかった

メタルガルルモンは更に不安になった


「マタちゃん…大丈夫?」


メタルガルルモンはマタドゥルモンに
触れようとしたが手が止まってしまった

マタドゥルモンの体から黒いモヤのような出ていたのだ

メタルガルルモンはすぐにそれが闇のエネルギーが
マタドゥルモンの体から漏れ出したものだと分かった、
分かってしまった……


「あの…マタちゃん…」

「時が来る…もうすぐ…進化の時が…。…離れてて…ガル…
あまり近いと闇の力にあてられてしまうかもしれない」

「え…えぇ!?闇の力って…マタちゃん今までそんなこと一度も…」


マタドゥルモンは闇の種族のデジモンではあるが
今まで闇の力を発したことは一度も無かった

だからこそ今マタドゥルモンが行ったことが信じられなかったのだが
今マタドゥルモンの体から溢れ出る闇の力は彼女の意志と関係ないものだった


「進化のために膨大な闇のエネルギーが必要みたいなの…
体が必要としているから…無意識のうちに集めてしまう」

「そ…そうなのか!?(…じゃ、じゃあマタちゃんは
それほどの闇の力が必要なデジモンに進化しようとしているのか?
まさか…本当に”七大魔王”に進化しちゃうのか…!?)」


まさか一番の不安が現実になってしまうのか?
メタルガルルモンは思わず言葉を詰まらせてしまった


「…ウォーグレイモンはどこ…?
会いたい…貴方に…会いたいよ…」

「あ、駄目だよマタちゃん外に出ては…」


外は危険なのでマタドゥルモンを止めようとしたが
体が動かなくなってしまった

マタドゥルモンがどれほどの力を持つデジモンに進化するのか
直感的に感じ取ってしまい、足がすくんでしまったのだ


「ちょっと…嘘だろ…!?」


それはバルバモンの軍勢の中にいた
吸血鬼デジモンも感じ取った

もうすぐ生まれる、8000年振りに我らの頂点が……



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



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