思うようにやりたいことが進まなくてね
あまりに更新しないのも悪いかな~と思い特別編です
竜帝の伝説の裏設定の一つのお話です
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遙か昔、天使型デジモンがロイヤルナイツやオリンポス十二神、四聖獣をも
上回るデジタルワールドで最大勢力を持っていた時代がありました。
その軍事力と組織力に敵うものは誰もいないだろうと言われており、
まさに世界全体は天使型デジモンによって統治されていました。
その勢力を前に七大魔王も迂闊に手を出すことが出来ず、
ダークエリアから出ることすらままならない状況だったのです
自分達の戦力に限りない自信を持っていた三大天使は
ダークエリアに踏み込みそこに生息する暗黒系デジモンを一掃しようと計画しました。
当時、闇の力を持つ存在は絶対的な悪だと信じられており、
たとえ成長期のデジモンであろうと、悪意を一切持っていなくても
闇の力を持っているだけで処刑されていたのです。
ダークエリアは未知の領域であり、そこに存在するだけで暗黒系デジモンの力は倍増する
だからダークエリアでは何が起こるか分からないとロイヤルナイツがどんなに言っても
三大天使は一切耳を貸しませんでした
三大天使は10万を超える軍隊を揃え、ダークエリアに進行する準備を整えたのです
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その頃、ダークエリアでは少々変わり者のデジモンがダークエリアで一番の権力を持っていました。
権力を持っていると言っても本人はそのことにはまるで興味がありません。
興味があるのは魔法と魔術のこと
彼は来る日も来る日も魔法や魔術の研究に明け暮れていました
彼は数千年に一度生まれるか生まれないかという魔法・魔術の天才でした
そのデジモンの名はグランドラクモン。吸血鬼の王と呼ばれる存在
吸血鬼である彼は生きるためには他種族のデジモンの血を摂取しなくてはならないのですが
そんなことも忘れて魔法・魔術の研究を続けているので空腹で倒れることもしばしば…
黒鬼城(こっきじょう)で働くデジモン達よく倒れる主に気が気ではありませんでした。
でも研究をしていない時のグランドラクモンはとても優しく紳士的でした
初代王に比べるとかなり変わっていると言われていても本質の彼は穏やかな性格だったので
黒鬼城のデジモン達はグランドラクモンのことをとても信頼していました。
とはいえ、一度魔法・魔術のことを語らせてしまうと七昼夜喋り続けてしまうので
うっかりそのことを口にしないように気を付けていたそうです
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ある時、そんな彼に変化が起こりました。
それはある女性型デジモンに恋をしたことでした
優しく、気高いそのデジモンには周囲のデジモンも一目置いていました。
まだ完全体でありながら溢れ出る気品に吸血鬼の王も心を奪われていたのです
グランドラクモンの猛アピールにそのデジモンも答え、
いつしか未来の王妃と呼ばれるようになっていました。
睦まじい二人の様子に誰もが待ち望んでいました
彼女が究極体となり、二人でダークエリアの行く末を担う姿を…
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ある日、二人で読んでいた本に載っていた一輪の花の絵に王の目が止まりました。
絵でありながら美しい色合いの花にグランドラクモンが一言、「見てみたい」と言いました。
彼女はいつも自分を愛してくれている王のために名前も知らない花を見つけようとしました。
ダークエリアを探し回りましたが見つからず、仕方なくダークエリアを出て地上を探しました。
そしてやっとその花を見つけた彼女は愛する王の下へ帰ろうとしました、しかし…
そこへ天使型デジモンが現れ、彼女へ攻撃を仕掛けてきたのです。
彼女は必死でダークエリアに戻り、王の下へ帰還するも致命傷を負ってしまった。
もうグランドラクモンの力でもどうすることも出来ませんでした。
彼女の手にはあの花が一輪握られていました、最後の力を振り絞りその花を
グランドラクモンに手渡すと、彼女はグランドラクモンの腕の中で絶命しました。
愛するデジモンを失ったグランドラクモンは怒り狂った
彼が怒った姿など見たことがない城のデジモン達は皆困惑し、逃げようとしたが
全員捕らえられ、全身の血を吸い尽くされ殺されてしまいました
これまでどんなことがあっても命を奪ったことがなかったグランドラクモンは
完全に我を失い、暴走してしまっていたのです
そして愛する存在を奪った天使型デジモンがダークエリアに攻め込もうとしているという
情報を掴んだグランドラクモンはダークエリアに漂う闇の力を吸収し、魔力を蓄え、待ち構えた
たった一輪の花を摘みに出ただけの愛おしき存在を奪ったデジモンに復讐するために
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暗黒系デジモンを一掃しようと戦力を集めていた三大天使は
ついにダークエリアに進行するために動き始めました。
10万を超える軍勢を引き連れ、ダークエリアの扉をこじ開けて進み始めました。
ダークエリアでは力が倍増する暗黒系デジモンでも
天使型デジモンのその圧倒的な勢力の前に為す術がありませんでした
そしてダークエリアの中部に差し掛かったとき軍勢の目の前にあるデジモンが現れました。
上半身は人型、下半身は獣、蝙蝠の翼に黄金の髪という見たこともないデジモン
それは天使型デジモンに復讐するために待ち構えていた吸血鬼の王、グランドラクモンでした
10万を超える軍勢の前にたった一人で立ちはだかるデジモンなど恐るるに足らずと
天使型デジモンは迷うこと無くそのデジモンに攻撃を仕掛けました
しかし彼らは知らなかったのです。
そのデジモンが自分達にどれだけの憎しみを…憎悪と憤怒を宿しているかを…
そして魔法・魔術の天才であるデジモンがどれだけの力を有しているかを…
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三大天使は恐怖で支配され、身動き出来ずにいました
ものの数刻で10万を超える軍勢が消滅させられていた
生き残った天使型デジモンは全て堕天させられ、グランドラクモンに跪いている
返り血で赤く染まった体でグランドラクモンは彼らのほうを向くと憎しみを込めて叫びました
『貴様ら天使型デジモンに二度と栄光の時は無い』
それは永遠に続く呪いの言葉
彼はダークエリアに存在していた全ての闇の力を使い、
天使型デジモンに永久に解けることの無い呪いをかけたのです。
その術式に三大天使は吹き飛ばされ、ダークエリアから追い出された。
そしてダークエリアから追い出された彼らは吸血鬼の王の言葉の意味を理解しました。
自分達の力が明らかに弱体化していたからです。
その呪いは天使型デジモンの力を弱体化させ、生まれる数さえも減らしてしまうもの
あまりに強力な呪いに解くことが出来ないどころか、解こうとすると更に呪いが強力になっていく。
天使型デジモンはこの呪いの力で急速に弱体化していき、
やがてある程度強い暗黒系デジモンには手も足も出せなくなっていった。
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それからしばらくしてグランドラクモンはダークエリアの最深部の更に奥
極地と呼ばれる場所に足を踏み入れていました。
あまりにも闇の力が強すぎて護身法を施さなければどんなデジモンでも来られない場所。
あるデジモンに会うために彼はここを訪れていました。
「よう、久しぶりだなオニスモン」
グランドラクモンは弱々しい口調で紫色の羽毛を持つ鳥型のデジモンに話しかける
そのデジモンはオニスモンという古代に生息してデジモンでした
「お久しぶりですグランドラクモン。かなりの戦いがあったそうですね」
「そうそう、どれだけ殺したのか自分でも覚えてないくらいのな…
今日はそのことでお前に謝りたくてここまで来たんだ」
「謝りたいこと…ですか?」
オニスモンが首を傾げると彼は一つため息をついて言葉を続けた
「ああ…彼女を失って俺は完全に壊れていたみたいだ。
今は…復讐を果たしたという優越感で少し正気なだけ…。
多分、この優越感がなくなったらまた正気を失うだろうな。
俺が壊れたら止めることが出来るデジモンが存在しないから…
だから少しでも正気でいるうちに自害しようと思ってな…」
「そうですか…」
「悪かったなオニスモン。天眼(てんげん)の願いを叶えてやると誓ったのに出来そうに無い。
まぁ俺が研究した魔法や魔術の書物は残してあるから何かの役に立つと思う。
他のデジモンは手が出せないようになっているけど一応お前に鍵渡しておくよ。
本当に済まなかった…こんな不甲斐ない終わり方をして…天眼に顔向け出来ないよ…」
「お気にせずに…貴方が謝ることではありません。
愛する者を失う悲しみは私も重々承知しております。
私には構わずに彼女の元へ行って下さいまし…」
全てを悟ったかのようなオニスモンの優しげな口調に
グランドラクモンは思わず涙を流した。
こんなことになるはずではなかったのに…
自分があの花を見たいと言わなければ彼女は死ななかった
いや、こんなに苦しいならそもそも愛さなければ良かったのにとも何度も思った
どんなに後悔してももう彼女は戻ってこない
自分が狂っていたときに殺してしまったデジモン達も自分と同じように
その死を知って自分と同じように悲しむデジモンがどれだけいたのだろう
悔やんでも悔やんでも、もう何一つ元には戻らない
「次に生まれる吸血鬼の王が天眼の願いを…この使命を継いでくれることを祈るよ。
この冷たい場所で永遠に眠る彼女の涙を止めてくれることを……」
グランドラクモンはそう言うと自分のデジコアを粉々に砕いて自害しました
オニスモンはそれを静かに看取りました
いつ終わるか分からない使命と天眼の最後の願いを胸に秘めて…
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めっちゃ駆け足で書いたからどっか文面がおかしいかもしれませんΣ(゚д゚;)
うん、これ何年前の話だろう。少なくとも本編から2万年くらい前…